2022.10.26 [イベントレポート]
「失われてゆくものへの憧景や郷愁という感情を、いつまでも消えないように、という想いでこの映画を作りました」10/25(火) Q&A:アジアの未来『消えゆく燈火』

消えゆく燈火

©2022 TIFF 左からアナスタシア・ツァン監督、セシリア・チョイさん(俳優)、ヘニック・チョウさん(俳優)、サヴィル・チャンさん(プロデューサー)

 
10/25(火) アジアの未来『消えゆく燈火』上映後、アナスタシア・ツァン監督、サヴィル・チャンさん(プロデューサー)、セシリア・チョイさん(俳優)、ヘニック・チョウさん(俳優)をお迎えし、Q&Aが行われました。
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司会・石坂健治シニア・プログラマー(以下:石坂SP):皆様お待たせしました。素敵なゲストの方4名様にお越しいただいています。一人目は監督、脚本を務められてたアナスタシア・チャンさん。俳優の方はセシリア・チョイさん、ヘニック・チョウさん。プロデューサーのサヴィル・チャンサンです。世界初上映の後ということですが私達も嬉しく思います。まず一言ずつご挨拶を頂ければと思います。監督からお願いします。
 
アナスタシア・チャン監督(以下、チャン監督):本日は私にとっても初めての劇場鑑賞となりましたが、観客の皆さんと一緒に『消えゆく燈火』を観ることが出来て嬉しいです。ありがとうございます。
 
セシリア・チョイさん:こんにちは。私はセシリアです。今回、東京国際映画祭に来られて嬉しいです。第一印象として、日本語字幕が付いていることに雰囲気を感じ、とても嬉しかったです。本当にありがとうございます。皆さんにもぜひ気に入っていただけると嬉しいです。
 
ヘニック・チョウさん:日本の皆さん、こんにちは。ヘニック・チョウと申します。香港の俳優です。日本に来られ、東京国際映画祭に参加することが出来て嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
 
サヴィル・チャンプロデューサー:サヴィル・チャンです。この映画のプロデューサーです。この作品は自分にとって4本目のプロデュース作品です。こうして東京国際映画祭で皆さんと一緒に見られたことがとても嬉しいです。ぜひ気に入っていただければと思います。
 
石坂SP:監督に質問です。この映画が出来た経緯を教えてください。
 
チャン監督:本作品は、自分の初監督作品になります。この題材で映画を撮ることは非常に難しく、特に今の香港において、文芸作品への資金を集めることは困難を極めます。ただ、新人監督へ映画製作のための資金援助制度があり、それを活用しながら脚本を書いたところ、幸いにして選ばれ、資金を得られたので、この映画を製作することができました。
 
Q:監督へ質問です。映画の中でセシリア・チョイさんが演じた娘のセリフで、自由を得るためにオーストラリアへ行くんだ、という言葉がありました。この映画の全体にはネオンサインに対するレトロな感覚というものがありますが、映画製作に対する現状への訴えも含まれているのかな、と個人的には感じました。そのような意図はありましたでしょうか。
 
チャン監督:セリフは日本語に翻訳され言語が変わっていますが、そのような細かい点に気が付いてくださり感謝いたします。
今回の資金調達元は政府機関でしたし、脚本を提出した際に特に直しが入ることも無く、非常に自由に撮れたと思っています。現実には香港のネオンサインが街の政策としてどんどん撤去されているのですが、そのような時間を重ねることで失われてゆくものへの憧景や郷愁という感情を、題材のネオンサインやネオン管に重ねスポットを当てることで後世に残り、いつまでも消えないように、という想いでこの映画を作りました。
 
Q:監督へお聞きしたいのですが、映画を作るにあたりプロデューサーのサヴィル・チャンさんにはどのような形で参加してもらい、アドバイスを受けたのでしょうか。
 
チャン監督:プロデューサーのチャンさんというのは、自分にとっては戦友のような存在です。初めに脚本を書く段階から、映画の撮影中、そして今回の映画祭に出品するところまでをずっと支えてもらい、またたくさんのアドバイスもいただきました。
もちろんこの作品を作る上での様々なアイディアも出してくれましたし、自分には見えていないことに関しても、プロデューサーの視点から出されるアドバイスにハッとさせられるなど、色々と協力してもらいました。
 
サヴィル・チャンプロデューサー:自分のプロデュース作品を気に入っていただき非常に嬉しいです。今回の作品は4作目のプロデュースになりますが、なぜ4作しかないかというと、作るのが遅いからです。もう少し頑張って、出来ればこの先1~2年の間に新しい作品を作り上げて、また日本に来たいと思いますので、これからもぜひ応援していただければ嬉しいです。ありがとうございます。
 
石坂SP:俳優のお2人に質問です。それぞれ非常に特徴的な役柄でしたが、監督との打ち合わせを含め、どのように役作りを進めていったのでしょうか?
 
セシリア・チョイさん:まず、娘役を演じるにあたっては、とても自由にのびのびとやらせてもらいました。この役では、父親を亡くした後に、母親には内緒で恋人とオーストラリアへの移住を計画し準備を進める中で、うまくいかなくなった母親との関係性、愛しているけど憎んでいるというとても微妙な関係性を演じなければなりませんでした。これは多分どの親子にも思い当たる部分があると思いますが、自分自身も母親との関係性を重ねながら役作りをしていきました。特に今回ありがたかったのは、母親役のシルヴィア・チャンさんが経験豊富な素晴らしい女優さんで、演技をするうえで色々とサポートしてくださったことです。この場をお借りしてシルヴィアさんにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 
ヘニック・チョウさん:まず、監督とプロデューサーにお礼を申し上げます。自分を信用してこの役を与えてくださり感謝しています。
自分は、脚本の文言や画面上に映し出されるといった、目に見えているものだけに頼るのではなく、どのようにしてこの役を作り上げれば良いのかを考え、このキャラクターに込められた監督の意図をディスカッションを通して確認しながら役を作り上げていきました。

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