2022.11.01 [イベントレポート]
片山慎三監督、日本映画監督協会新人賞に歓喜「死ぬまで映画を撮り続けます」
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決意を語った片山慎三監督(右)と本木克英監督

日本映画監督協会新人賞に輝いた片山慎三監督の授賞式が11月1日、第35回東京国際映画祭で行われ、受賞対象作品『さがす』が記念上映された。

監督協会は1936年設立で、新人賞は60年からスタート。理事長の本木克英監督は、『青春残酷物語』で受賞した大島渚監督が小津安二郎監督から表彰される第1回の写真を見せ、「監督が才能のある新人を選ぶ唯一無二の賞で価値がある」と説明。片山監督は、トロフィを恭しく受け取り「本当に光栄です。死ぬまで映画を撮り続けていきます」と決意を新たにした。

だが、前作の長編監督デビュー作『岬の兄妹』の時に「ほのかに選ばれるのではないかと期待していた」と本音も吐露。選考委員を務めた高橋伴明監督は、『さがす』について「新人らしからぬ、ベテランが入ってきたようにスキがない。仮にあったとしても強引に突き抜けていく強さがあった」と評価した。

「指名手配中の連続殺人犯を目撃した」と話した翌日に姿を消した父親を娘が探すヒューマンミステリー。主演は佐藤二朗で、高橋監督は「あの怪優をここまでコントロールした力量に驚いた。見事だと思う」と称賛。片山監督は、「脚本を渡してお会いした時から、今までとは違う佐藤二朗さんを見せたいと話した。ある程度の覚悟を持って挑んでもらったが、テイクを重ねると本人も苦しんで、夜中に独りで飲んで発散していたみたいです」と明かした。

本木監督も、「自分では到底向き合えない、人間の弱さ、暗さ、残忍なところを見せ、それが悪趣味ではなく見事なエンタテインメントになっていた」と絶賛。企画意図を聞かれた片山監督は、「「ツイッターなどSNSで殺人を依頼する事件に興味を持っていった。世界が抱える闇を描きたかった」と話していた。

第35回東京国際映画祭は、11月2日まで開催される。
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