満田かずほ(左)、切通理作(右)
第35回東京国際映画祭ジャパニーズ・アニメーション部門に出品された「
ウルトラセブン」55周年記念上映『
対話』が10月26日、TOHOシネマズシャンテで行われ、本シリーズメイン監督となる満田かずほ監督(※「かずほ」の字は禾へんに「斉」)と、評論家の切通理作が本作について語り合った。
「ウルトラマン」シリーズを代表する一作としていまなお根強い人気を誇る「ウルトラセブン」は1967年10月1日に放送開始。翌年まで全49話(ただし第12話は現在欠番)が放送された。東京国際映画祭ではこの「ウルトラセブン」の中から、「対話」「特撮」「ヒーロー」という3つのテーマに基づき、厳選した12エピソードを4K上映することになった。
この日は「対話」という視点でセレクトした『
ダーク・ゾーン』『
宇宙囚人303』『
盗まれたウルトラ・アイ』『
ノンマルトの使者』の4作品を上映。『ダーク・ゾーン』『ノンマルトの使者』の監督を務めた満田監督が当時のエピソードを披露する貴重な機会となった。
4Kリマスターできれいによみがえった本作をあらためて鑑賞し、「単純にきれいになったなと思いましたね」としみじみ語る満田監督。切通も「どっぷりつかって観ましたね。「ウルトラ」シリーズはテレビ番組なんだけど、映画なんだなとあらためて思ったのと、脚本家のひとりである市川森一さんがウルトラセブンは夜の世界なんだとおっしゃっていたんですけど、今日の作品はナイトシーンが本当に印象的だった。4Kによって夜の効果がつぶれることがなく。本当に意味で堪能しました」と感激した様子を見せた。
今年がテレビ放送開始から55周年という節目の年となることに、「1967年に撮影を始めましたけど、当時のことは結構覚えているものですね。おとといの昼飯のことは何食ったか忘れてしまっているのにね」と笑顔で語る満田監督。切通も「ひとくちに半世紀といいますけど、50年までは将来だけど、55年後はもう未来ですよね。その未来の姿を描いた「ウルトラセブン」を満田監督と一緒に大スクリーンで観られるのは感無量です」としみじみ付け加えた。
「対話」というテーマでセレクトされた今回のエピソードについて「この(満田監督作となる)2本を選んだのは、どなたか分からないのですが、本当に見事だなと思ったのが、ダンとアンヌの距離感が印象的な2本だったなということなんです。最初の方ははつらつ青春コンビという感じだったのに、(第42話の)『ノンマルトの使者』の頃にはまるで恋人のようになっていた」という切通の指摘に、「『ノンマルトの使者』の頃は最終回を僕が担当するのが分かってたので、できるだけダンとアンヌの距離を縮めておきたいということがあったんですよね。それからアンヌの髪の毛を長い方がいいなというのが『ノンマルトの使者』からですよね」と述懐。
さらに切通が「僕がたいへん驚いたのが、(海水浴で)砂に埋まってる時のアンヌの髪が長くて。お話の筋からするとそこは演出の領域だろうと思っていたんですが、満田監督にうかがったところ、実は金城(哲夫)さんの脚本にすでに書いてあったということなんですよね。そしてその長い髪が、最終回では銀バックで揺れるという演出につながっていて。そのへんの伏線のようなものに度肝を抜かれたというか。そんなことまで考えられていたのかと驚きました」と感服した様子を見せると、「『セブン』の企画書の中に、ダンとアンヌの淡いラブロマンスという1行が書いてあったので。それをしっかりと守ったのがわたしと、それを書いた(脚本の)金城哲夫の二人だけだった。ほかの作家は守ってないようでしたが」と笑ってみせた。
撮影当時を振り返り、「お金も条件も限られていましたが、工夫はしましたね」と語る満田監督は、「さっき上映された『ノンマルトの使者』で、海岸に少年とアンヌがいるシーンがありましたが、本当はシルエットで撮りたかったんです。でもやはり自然の明かりということもあり、思うようにはいかなかった。だからその敵討ちということで、最終回では、銀紙を貼ったパネルの前でシルエットにしたんです。後から、あれはすごいセットでしたねと言われるんですが、単なる銀紙なんですよ。銀紙をデコボコに貼って。それを助監督が後ろからドンドンとたたいて。メラメラ感を出しただけなんですけどね」と現在でも語り草になっている感動的な名シーンについて、その裏話を明かすひと幕もあった。
第35回東京国際映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
満田かずほ(左)、切通理作(右)
第35回東京国際映画祭ジャパニーズ・アニメーション部門に出品された「
ウルトラセブン」55周年記念上映『
対話』が10月26日、TOHOシネマズシャンテで行われ、本シリーズメイン監督となる満田かずほ監督(※「かずほ」の字は禾へんに「斉」)と、評論家の切通理作が本作について語り合った。
「ウルトラマン」シリーズを代表する一作としていまなお根強い人気を誇る「ウルトラセブン」は1967年10月1日に放送開始。翌年まで全49話(ただし第12話は現在欠番)が放送された。東京国際映画祭ではこの「ウルトラセブン」の中から、「対話」「特撮」「ヒーロー」という3つのテーマに基づき、厳選した12エピソードを4K上映することになった。
この日は「対話」という視点でセレクトした『
ダーク・ゾーン』『
宇宙囚人303』『
盗まれたウルトラ・アイ』『
ノンマルトの使者』の4作品を上映。『ダーク・ゾーン』『ノンマルトの使者』の監督を務めた満田監督が当時のエピソードを披露する貴重な機会となった。
4Kリマスターできれいによみがえった本作をあらためて鑑賞し、「単純にきれいになったなと思いましたね」としみじみ語る満田監督。切通も「どっぷりつかって観ましたね。「ウルトラ」シリーズはテレビ番組なんだけど、映画なんだなとあらためて思ったのと、脚本家のひとりである市川森一さんがウルトラセブンは夜の世界なんだとおっしゃっていたんですけど、今日の作品はナイトシーンが本当に印象的だった。4Kによって夜の効果がつぶれることがなく。本当に意味で堪能しました」と感激した様子を見せた。
今年がテレビ放送開始から55周年という節目の年となることに、「1967年に撮影を始めましたけど、当時のことは結構覚えているものですね。おとといの昼飯のことは何食ったか忘れてしまっているのにね」と笑顔で語る満田監督。切通も「ひとくちに半世紀といいますけど、50年までは将来だけど、55年後はもう未来ですよね。その未来の姿を描いた「ウルトラセブン」を満田監督と一緒に大スクリーンで観られるのは感無量です」としみじみ付け加えた。
「対話」というテーマでセレクトされた今回のエピソードについて「この(満田監督作となる)2本を選んだのは、どなたか分からないのですが、本当に見事だなと思ったのが、ダンとアンヌの距離感が印象的な2本だったなということなんです。最初の方ははつらつ青春コンビという感じだったのに、(第42話の)『ノンマルトの使者』の頃にはまるで恋人のようになっていた」という切通の指摘に、「『ノンマルトの使者』の頃は最終回を僕が担当するのが分かってたので、できるだけダンとアンヌの距離を縮めておきたいということがあったんですよね。それからアンヌの髪の毛を長い方がいいなというのが『ノンマルトの使者』からですよね」と述懐。
さらに切通が「僕がたいへん驚いたのが、(海水浴で)砂に埋まってる時のアンヌの髪が長くて。お話の筋からするとそこは演出の領域だろうと思っていたんですが、満田監督にうかがったところ、実は金城(哲夫)さんの脚本にすでに書いてあったということなんですよね。そしてその長い髪が、最終回では銀バックで揺れるという演出につながっていて。そのへんの伏線のようなものに度肝を抜かれたというか。そんなことまで考えられていたのかと驚きました」と感服した様子を見せると、「『セブン』の企画書の中に、ダンとアンヌの淡いラブロマンスという1行が書いてあったので。それをしっかりと守ったのがわたしと、それを書いた(脚本の)金城哲夫の二人だけだった。ほかの作家は守ってないようでしたが」と笑ってみせた。
撮影当時を振り返り、「お金も条件も限られていましたが、工夫はしましたね」と語る満田監督は、「さっき上映された『ノンマルトの使者』で、海岸に少年とアンヌがいるシーンがありましたが、本当はシルエットで撮りたかったんです。でもやはり自然の明かりということもあり、思うようにはいかなかった。だからその敵討ちということで、最終回では、銀紙を貼ったパネルの前でシルエットにしたんです。後から、あれはすごいセットでしたねと言われるんですが、単なる銀紙なんですよ。銀紙をデコボコに貼って。それを助監督が後ろからドンドンとたたいて。メラメラ感を出しただけなんですけどね」と現在でも語り草になっている感動的な名シーンについて、その裏話を明かすひと幕もあった。
第35回東京国際映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。