2022.11.02 [イベントレポート]
「亡き妹は映画の中で生き続けてほしい」スリランカの逸材が語る希望への思い
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(左から)サンジーワ・プシュパクマーラ監督、アミル・アベイスンダラ、スランガ・ハンダパンゴダ

第35回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたスリランカ・イタリアの合作映画『孔雀の嘆き』が11月1日、東京・丸の内TOEIで上映され、来日中のサンジーワ・プシュパクマーラ監督、プロデューサーのアミル・アベイスンダラとスランガ・ハンダパンゴダが、観客とのQ&Aに応じた。

スリランカの逸材が描く本作は、妹の心臓手術のために大金が必要となった主人公のアミラが、望まれない妊娠で生まれた子どもを外国人にあっせんする組織で働くさまに迫る骨太のドラマ。映画上映後、大勢の観客が集まった会場内にやってきたプシュパクマーラ監督は「なんと申し上げて良いやら……」と感激した表情で、「隣に座っているアミル、スランガ、この友人のふたりがプロデューサーとして携わってくれたことに感謝したいですし、もちろん今日来てくれた皆さん、そしてわたしたちを招待してくれた映画祭の皆さんにも感謝したいと思います」と呼びかけた。

また観客から「映画を観て、アジア的な死生観を感じたが、監督の死生観は?」と質問を受けると、「われわれはアジア人だからこそ、同じような気持ち、同じような視線を共有できるのではないかと思います。われわれフィルムメーカーは、自分の人生を描いた作品、自分の心に深く根ざした大切な出来事を描いた場合、どんな観客の心にも感動を与えると思うし、心の琴線にも触れると思います」と返答したプシュパクマーラ監督。

さらに「今日は皆さんに、わたしの人生そのものを観ていただいたわけです。というのも実はこの作品は、わたしの妹の話なんです」と明かす。本作に込めた思いを「妹は1996年に亡くなりましたが、わたしが死ぬ日まで、彼女はわたしの心で生き続けます。映画に登場する妹の名前はイノカと言いますが、わたしの妹の名前もイノカです。彼女は亡くなってしまいましたが、僕の映画の中では生き続けてほしいという思いで、この映画を作りました」と切々と説いた。

さらにこの映画で訴えかけたいことについて質問されると、「われわれの住んでいる世の中は、残念なことに決して住みやすい世の中ではありません。この世の中は良い方に変わらないといけないわけですが、そのためには希望が必要なんです。そして希望はわれわれのコミットメント、そしてわれわれの勇気から生まれるものなんです」と明かす。

「この映画の中のキャラクターは、まさに勇気、そしてパッションを持って、自分たちの置かれた状況からどうにか脱して、どうにかゴールや目的、夢を追い求めようとしています。そして希望にすがりつきたいと思っているわけです。わたしは世の中に希望を与えたいと思っています。希望を持てば、世の中の人がみんな幸福になる。お互いに微笑みあって、笑顔が広がる世の中になればいいなと思っています」と続ける。

さらに、「もちろんわたしは芸術が世の中を変えるというような、愚かなことは言いません。しかし芸術は心の中の世界を変えることはできると信じています。芸術というのはエモーションを与えるからです。それがどれだけできるか分かりませんが、それでもわたしはそれを成し遂げたいと思います」と決意のコメント。そんな監督の思いを受け止めた観客からは、「監督はわたしに希望を与えてくれました」という声もあがった。

そして本作のタイトルに「孔雀」がついている意味に関しては、「実はヒンズー教で、孔雀というのは神の化身だと考えられているんです」と客席に語りかける。「ただ孔雀というのは見た目は美しいんですが、鳴き声はそれほど美しくありません。スリランカというのは素晴らしい国ですが、外見は美しいけど、中の現状はそれほど良くはないということの象徴として、孔雀というタイトルを使いました」とスリランカ社会のダークサイドを描いた本作のタイトルに込めた思いを明かした。
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