2022.10.25 [イベントレポート]
二宮和也、主演作への思いを世界初上映の場で吐露「戦争がもたらした後遺症の話だと思っている」
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二宮和也(左)、瀬々敬久監督(右)

二宮和也主演作『ラーゲリより愛を込めて』が10月24日、第35回東京国際映画祭のオープニング作品として、世界初上映された。有楽町・丸の内ピカデリーで行われた舞台挨拶には、二宮と瀬々敬久監督が登壇。撮影時のエピソードや共演者との秘話について明かしていた。

『ラーゲリより愛を込めて』(12月9日公開)は、二宮がシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男を演じた伝記ドラマ。第2次世界大戦後、極寒のシベリアで強制労働を強いられ過酷な日々を過ごすなか、日本にいる妻モジミ(北川景子)と約束した帰国(ダモイ)を誰よりも強く信じ、多くの捕虜たちを励まし続けた男の生きざまを描く。松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕も出演している。

オープニングイベントでは、日比谷エリアでは初めて行われたレッドカーペットに登場した二宮と瀬々監督。「最後に歩かせて頂いたんですが、何度見ても隣には瀬々さんしかいなくて…(笑)。瀬々さんと2人で贅沢に160メートルを歩かせて頂きました。ありがとうございます。3年ぶりにイベントができて、見てる方や取材をしてくださる方々がいて、少しエンタメが戻って来れたのかなと思って熱くなるモノがありました」(二宮)、「まだコロナ禍の中ですが、これからも工夫してこういった映画際が世界の交流の場としてやっていけたらなと改めて感じました」(瀬々監督)と振り返りつつ、“世界最速の本編上映”についての思いを吐露する。

二宮「すごい作品に出ちゃったなと思っています。僕は都度、戦争(映画)に呼ばれることがありますが、今回は戦争がもたらした後遺症の話だと思っているので、戦争によってこれだけのことが起こるんだということが少しでも伝われば嬉しいなと思います。色々なことを考えながら、想いながら作ったので、それをオープニング作品に選んでもらったことは光栄だなと思います」

瀬々監督「今でもウクライナでは実際に戦争が起きていて、日本でもコロナや貧困や様々な問題を抱えています。山本さんは「希望を捨てるな」と言って生きた人ですが、その生き方が今の僕たちの生活にヒントを与えてくれたり、何か感じてもらえたらいいなと思って作りました」

続けて、二宮は実在の人物“山本幡男”を演じたことについて「この映画にすごく縁を感じていて。山本さんと出会って、撮影を通して色々なものを教えて頂いた気になっています。これから皆さんがご覧になってどういった感情を抱くのか、人によっては「まぶしすぎる人」もいるかもしれないし、「言葉が刺さる人」もいるかもしれない、「暖かくじわっとする人」もいるかもしれない。過酷な環境で人間として生き抜いた一人という部分を見て頂きたい」と説明。すると、瀬々監督は「二宮くんが山本さんを「決して偉人やヒーローみたいには表現したくない」と言っていた。「普通の人間として生きていたと伝えたい」という考え方を聞いて、それがまさに山本幡男さんっぽいなと思いました」と補足していた。

共演者について話題を及ぶと「モジミや女性は「(戦争にいった人間の帰りを)待つ」という戦争の後遺症。待つことを選んだ女性たちの母性にも近いような感覚を北川さんが上手に表現していました。松坂さんは属性が近いタイプだったので、中々共演できないだろうなと思っていたので、こういった特殊な環境の作品だったら2人いても違和感はなく共演できるんだと気づきました」と語った二宮。さらに、「撮影環境は過酷でしたか?」という問いかけに対して、こんなエピソードも飛び出した。

二宮「すごく過酷でした。ね?」

瀬々監督「過酷でしたね。大雪の警報が出た時があって、スタッフだけではなく桐谷くんや中島くんなどキャストも含めてみんなで雪かきをしたんですが、1人だけやっていない人がいて…」

二宮「信じられないですね! ぶん殴ってやりたいですね! 誰ですか?」

瀬々監督「あなたでしょ!!(笑)」

二宮「私でした。私は扉の影に隠れてました(笑)。本当にみんな手伝ってチーム感が出来上がっていましたね」

瀬々監督「苛烈な自然で撮影するのは本当に大変でした」

二宮「雪でセットが潰れないように見張っている部隊ができたりもしました」

最後にメッセージを求められると、瀬々監督は「皆さんが世界で最初にこの作品を観て頂き、きっと気に入って頂けると思います。是非劇場でも観てください。東京国際映画祭も開幕しましたので、是非気になる作品を見つけてご覧になってください」とコメント。二宮は「戦争がもたらした後遺症はよほど強いものなのだろうなと感じました」と口火を切った後、「重たくするつもりはないけれど、なんでこういったことが起こってはいけないのかということを感じてもらいつつ、それを乗り越えた先に希望・愛・友情だったりがちゃんと見えてくると思うので、心があったかくなると思いますので、観て頂ければと思います」と客席に言葉を投げかけていた。

第35回東京国際映画祭は11月2日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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